Oblique Translation Mechanismってなんだ?マナビノトチュウ


学生トレーナーの質問に対するアンサーブログ第二弾としてOblique Translation Mechanismについてまとめます。

  • OTMって何?
  • スポーツ現場での活用方法
  • リコンディショニングについて

|Oblique Translation Mechanismってなに?

ある書物によれば、Oblique Translation Mechanismとは、生理的に伸びるべき組織が伸びない(伸張性欠如)あるいは、滑走すべき組織が滑走しない(滑走障害)のために、可動性ならびに安定性が損なわれるもの。*1
と記されています。

また、偏った組織の拘縮は上腕骨頭の求心性を乱し、その運動は正常な軌道から逸脱しやすくなる。*1とも記載があります。

つまり①伸張性の欠如や②滑走性の障害が誘因となり、肩甲骨(臼蓋)に対して上腕骨(上腕骨頭)の運動を正常な軌道で保持できない(運動軸の逸脱)状態を指す事が理解できます。

関節包に生じた拘縮により、関節包の高度バランスが乱れる。その結果高度の高い方から低い方へと逸脱させる力が生じる(上図赤色矢印)

|スポーツ現場での活用方法

この理論を把握しておく事で、例えば、各肢位にて腱板の柔軟性を把握したとします。
関節包と腱板は互いにその性状を反映し合う事から、柔軟性の低下を確認する事で関節包の伸張性の低下を判断する事にも繋がります。

Case1
屈曲90度(3rd)からの内旋の可動域は、関節包後方の特に下方の伸張性の欠如と、腱板(小円筋)の柔軟性の有無を判断するのに有効な肢位と言えます。

▷屈曲90度での内旋動作で制限あり
▷屈曲>Scapula Plane>外転と角度を変えると内旋運動の制限が解除される

上記のようなケースでは、関節包後方(後下方)の伸張性低下と、腱板の柔軟性低下のいずれもが制限因子として考えられることから、この情報だけだとその先に評価を進める事ができません。

その際に用いる方法として

①関節包に目星をつけて・・・・臼蓋に対する骨頭の位置を他動的に修正
②腱板に目星をつけて・・・・・Hold Relaxのような柔軟性改善の為のアプローチ

を設定する事ができます。それぞれの介入にて内旋運動に変化が生じれば、その介入をする事によりクリアになった問題が実際の原因だったと考えられます。


|リコンディショニングについて

では実際に、臼蓋に対して骨頭の位置が思わしくない時。どのようにその環境を改善するか。
上記にも少し記載していますが、ポイントは以下の通りです。

①位置関係を変位させる外力を除去する。
②位置関係を保持する筋力を向上させる。

この双方からアプローチをすることで状況の改善が図れます。

①変位させる外力を軽減させることが目的から、関節包の緊張が高い方に対して、  Mobilizationを実施することで環境に変化を生じさせることができます。

②肩甲上腕関節の動的安定性が内・外旋筋により構成されていることがわかります。
よって両筋のアンバランスさを解消することが必須と考えることができます。

今回はこの辺で。


 





参考文献・書物

*1)林典雄:肩関節節拘縮の評価と運動療法.2014-P64

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