今回は、膝の前面痛に対してのSOPを再考する機会があったので、記事にしました。
この記事をご覧いただく事で、膝の前面痛に対する評価の進め(SOP)を理解し、評価の「引き出し=幅」を増やす事ができます。
|膝前面の痛みを訴えるクライアントに聞いておきたい事
「どのタイミングで痛みが増大するか」このフレーズは必ず問診の中で使うべきだと個人的に感じています。
なぜか。膝関節には2つの関節が含まれているからです。つまり膝関節が痛い場合、どちらの関節より症状が出ているのかをある程度、問診の中で目星をつけないと評価中に迷子となり評価からの介入が円滑にできません。
そんな状況を打破する為のフレーズ。それが疼痛増悪動作を把握する事だと感じています。
・立位で体重がかかっている時に最も痛い。
→比較的膝伸展位での症状
・膝を曲げ伸ばしした時に最も痛い。
→比較的膝屈曲位での症状
・安静時にも痛みがある。
→明らかな炎症所見
問診の入り口のタイミングでこの点をクリアにする事は、その後の評価をPF(膝蓋大腿関節)メインで評価を進めるのか、FT(脛骨大腿)関節メインで評価を進めるのかを判断する材料になります。
|膝伸展位?屈曲位?から見えていくる状況
上述した膝関節を構成する関節の2つの特徴についてもう少し考えると、膝の角度が大きく影響していると捉える事ができます。
PF関節は、膝の屈曲角度が大きくなる事で、骨同士の圧迫するストレスが増大します。
逆に、膝の伸展位では、関節にかかる圧迫ストレスがそれほど高くない姿勢だと言えます。
つまり、膝の痛みを感じる時が膝伸展位では、FT関節由来の疼痛と捉え、膝屈曲位での疼痛についてはPF関節由来の疼痛だと捉える事ができます。
疼痛増悪動作
・膝伸展位:FT関節由来の可能性
・膝屈曲位:PF関節由来の可能性
|疼痛増悪動作を把握した後にチェックしておきたい事
痛みを出す原因がFT関節かPF関節か大まかに目星がついたら、次はその原因を裏付ける評価を進めていきます。つまり関連性が高いと思われる関節を中心に評価を進めていきます。
上記の内容を中心に評価を進め、「何」が痛みを出しているのかを把握します。
また、同時に疼痛増減テストについても実施をします。
疼痛増減テストとは、疼痛を出す原因を把握した後に、その影響を改善するように他動的に介入し、介入前後で変化を見るものです。
・PF関節由来の疼痛であれば、運動時の膝蓋骨の動きに対して介入をする。
・FT関節由来の疼痛であれば、足底(末梢)・股関節(中枢)のアライメントを変化させるように介入する。
ざっくりというとこの様なものを指します。
ここで重要な事は、疼痛がある動作を元に、痛みを正常化させる介入をする事で実際に症状(疼痛や違和感など)が落ち着くかどうかです。
逆に、痛みを助長させる介入をする事で実際に症状がより強くなるかという事です。
意図とした介入結果が得られる事で、よりその介入した部分(部位)に疼痛の原因があったと判断できます。
|評価の後に準備しておきたい戦略について
評価にて原因がわかれば、そこから起こす行動についてもより明確になります。
・疼痛→除痛
・不安定感→安定性の改善
・機能不全→機能改善
さらに
・ROM制限→ROM改善
・MMT低下→MMT向上
・機能低下(不全)→機能回復
という捉え方も忘れずにチェックします。
|まとめ
今回は、膝前面痛についてその捉え方についてまとめてみました。
①最も痛みが出る肢位は何か
②疼痛増減テストによる原因の再確認
ここを掴むだけでも、その後の行動が大きく変わると思います。
普段行う評価項目の中に、上記2項目を取り入れてみてはいかかでしょうか。
つばさ
参考文献
赤羽根 良和 ひざ100 機能解剖学的にみた膝関節疾患に対する理学療法 運動と医学の出版社.8.2018