回旋腱板(ローテータカフ)を評価する際の3つのポイント。マナビノトチュウ

肩の回旋腱板(ローテータカフ)を評価する際に押さえておきたい3つのポイントについてまとめました。

この記事を読むことで、回旋腱板(ローテータカフ)の評価方法について、より詳細に評価を進めれる様になります。

|肩の回旋腱板を評価する際に押さえておきたい項目はこの3項目

①腱板自体の損傷の把握
②筋機能の把握
③肩甲胸郭関節のとの関連性の把握


この3項目を評価の中で把握することで大まかな状態(状況)を把握することができます。

|腱板自体の損傷の把握


腱板そのものにトラブルがあるかについては、関節包の緊張についての解剖学的な知識があれば、大まかな状態を掴むことができます。

つまり、関節包が緊張している肢位では、関節包が臼蓋に対する骨頭の求心性を既に担保していることからImpingement様の症状(疼痛・つまり感など)は出にくく、それ以外(筋実質由来など)の痛みが出やすいということです。

これは、肩甲上腕関節の安定性が、関節包の緊張具合と、回旋腱板の収縮により担保されていることに起因します。

違う視点からいうと、関節包が弛緩した肢位において、回旋腱板の収縮が不十分だった場合、臼蓋のおける骨頭の安定性が担保されず、Impingementの症状が出やすいということになります。
 
まとめると

・下垂位での外転抵抗運動
→疼痛あり:腱板実質の損傷あり(可能性が高い)
→疼痛なし:腱板実質の損傷なし(可能性は低い)

・外転45度付近での外転抵抗運動
→疼痛あり:Impingementの可能性あり(可能性が高い)
→疼痛なし:Impingementの可能性なし(可能性が低い)

この様な評価を行うことが可能です。

*我々AT(Athletic Trainer)は、評価という手段を用いて現状を把握することまでを仕事とし、「診断」する事はできません。(する事は越権行為となります。)あくまでも、医療機関に「診断」を仰いだうえでの評価であることを認識してください。

|筋機能の把握


回旋腱板の機能評価を行う際に、重要なことは、回旋腱板と関節包それぞれの伸張度合いを評価する事で状態を把握することができます。

上述している通り、肩甲上腕関節の(静的および)動的安定性は、関節包と腱板の作用の左右されます。

関節包は、伸張される事で。回旋腱板は収縮する事でその役割を果たすとされています。

よって、関節包が伸張されていない弛緩している肢位にて筋発揮を行う事で、筋発揮由来の関節の動的安定性を評価することができるとされています。

要点は以下の通りです。

腱板の発揮筋力の基準の設定
 →Scapula Planeでの内外旋中間位

外旋筋の発揮筋力の評価
 →2nd+最大外旋位でのBreak Test

内旋筋の発揮筋力の評価
 →3rd+最大内旋位でのBreak Test

上記記載の肢位は、チェックしたい筋が運動開始のタイミングで既に短縮位になっている事に注目をしてください。

|肩甲胸郭関節との関連性について


狭義の肩関節は肩甲上腕関節ですが、広義で捉えた際に肩甲胸郭関節も含まれます。これらの関節は互いに影響し合うことから、仮に肩関節の運動に筋力低下を認めた場合、どちらの関節に問題があるのかを明確にしておく必要があります。

基準動作
 →外転30度(または30度以上)の外転肢位でのBreak Test

肩甲骨の下角を保持
 →基準動作に比べて力の入り具合を確認

 →力が入った場合
 肩甲骨を支えたことで肩甲上腕関節の安定性が増した。よって出力が向上した。

 →力が入りにくくなった
 肩甲骨を支えたことで、肩甲胸郭関節での動きの代償が構成しにくくなった。よって出力が低下した。

ここでは外転抵抗運動を少しアレンジすることで、どちらの関節に問題があるのかを把握する手法として扱う事ができます。

|まとめ


以上が回旋腱板を評価する際のポイントでした。ちょっと評価をする視線を変える事で(または追加)することで、多くの情報が見えてきます。



つばさ


参考文献

林典雄 肩関節拘縮の評価と運動療法 運動と医学の出版社 188-193.2013
筒井 廣明 投球障害肩こう診てこう治せ Medical View 55-58.66-68.2004

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